実質的には中国旅行も今日が最後である。

朝、海辺を歩いてまた石を拾った。いろんな人が散歩に来ていた。

昼飯時にはちょっと早かったが、プロヴァンスで昼食をとった。プロヴァンスと言うのは例の喫茶店のことである。やっと名前を覚えたんである。

「僕、韓国人じゃないんです」と暴露してから、タバスコが出てくることはなくなっていたし、ウェイトレスさんは日本語の雑誌を持ってきてくれる。今日は私のほかに日本人のグループがいた。

お昼はカレーである。日本人なので量もちょびっとにしてくれているようであった。

会計のとき、ウェイトレスさんと女主人の二人と話をした。日本から来たことはすでに周知であったので、どこに泊まっているのかとか、何をしにきたのかなどを話した。私は明日日本に帰ることを告げた。「ばいばい」と言って帰った。二人も「バイバイ」と言った。

そのあと、ジャスコの前の商店街にある雑貨屋さんを訪れた。中国では、この手のおしゃれ系雑貨屋さんは珍しい。品のよさそうなご婦人が店番をしていた。できればあの東南アジアの原住民が持っていそうな短剣がほしかったのだが、絶対検閲で引っかかるのでやめておいた。いいお店だった。

マイカルで瑯琊台ろうやたい酒と青島ビールと崂山のミネラルウォーターを買った。お土産。

ホテルに帰って少し荷物の整理をしてから、中国にきて初めて晩御飯を食べに出た。今までは屋台とかスーパーで買ったものをホテルで食べていた。

本場の水餃子が食べてみたかったのである。

三十分ほど歩いてたどり着いた餃子屋さんはやっぱり無愛想だった。しかもぜんぜん言葉が通じなかった。まあ仕方が無いのである。彼らとしても、中国語の話せない日本人が一人のこのこやってきたのは初めてであったろうから。

羊肉の餃子を頼んだ。美味しかった。

帰りに牛乳を買って帰るつもりだった。ここのおばあちゃんともすでに顔なじみになっていた。最後に挨拶なりともしておこうと思う。

牛乳は売り切れていた。おばあちゃんが、

「牛乳? もう無いよ」

「ないの?」

おばあちゃんは空箱を示して見せた。確かに空っぽである。

仕方ないから、何も言わずそのまま帰った。